お勧めのアンプって、難しい質問なんです


エレキギター・エレキベースは勿論、最近ではアコギもピックアップをつけてアンプからアウトプットが主流になっています。
皆さんアンプにはこだわっていますか? ギターは何本も持っているけどアンプは1台だけとか、スタジオのアンプ使うから持っていないなんて方も多いと思います。
確かに日本の住宅事情で、チューブアンプをフルで鳴らせるなんていうのは、よほどのお金持ちか・山奥の田舎(失礼)暮らしの方くらいでしょうから、マイアンプなんて現実的ではないのかもしれません。

▼アンプの種類と傾向をだいたい掴んでおきましょう。

アンプには大きく分けて3つの働きをもったパートがあります。『プリアンプ』 『パワーアンプ』 『スピーカー』 です。

プリアンプとは、ギターの信号が一番最初に通る回路で、ボリューム・ドライヴ・トーンコントロールといった音質と音量の変化を担当するものです。アンプのツマミ類の多くはプリアンプを操作するためにあります。
プリアンプ部を2つ以上持つアンプを、「多チャンネルアンプ」などと呼びます。クリーンチャンネルとディストーションチャンネルなど、得るサウンドの目的別にプリアンプを備えており、1台のアンプでより幅広いサウンドバリエーションが得られるものです。

パワーアンプとは、プリアンプで音質調整されある程度音量も上げられた信号を受取り、スピーカーを駆動させるだけのエネルギーにまでその信号を増幅するものです。アンプの出力というのはこの部分のパワーを指します。

スピーカーはパワーアンプからの信号を音として発声させる装置です。


次に、増幅回路の構成です。真空管やトランジスタを使用しており、それぞれ特性が異なります。

プリアンプ・パワーアンプ共に増幅回路といえますが、その信号を増幅させる部分のパーツに真空菅を使用しているものを『チューブアンプ』、トランジスタを使用しているものを『ソリッドステートアンプ』と呼びます。

チューブアンプは50年以上前からの歴史を持つアンプの代表格です。スムーズで温かみのある太いサウンド、クリーンから歪みへの滑らかなサウンド変化が得られるという特徴があります。ただし、真空管の寿命により数年後とにある程度のメインテナンスが必要です。

ソリッドステートアンプは70年代以降に登場したもので、メインテナンスがあまり必要なく、クリーンで歯切れの良いサウンドを特徴としています。ただし、太く滑らかな歪みを得るのは苦手でした。(最近のは良い)

皆さんは、アンプのスペックを見て「ワット数」で大体の音量を想像すると思いますが、チューブとソリッドステートでは同一ワット数で比較した音量は全く異なります。 例えばソリッドステートアンプで15w程度なら家庭用の練習アンプとして使用しますが、チューブアンプの15wというのはライブで使えるくらいの音量があります。


▼では、実際にアンプを選ぶ際には・・・


欲しいサウンドに明確なイメージを持ちましょう。

かんたんな話、「○○のこのライブのときの音が欲しい」みたいにイメージして頂けると一番です。
それと同じ機材をそろえれば良いだけですからね。
でもそれではプロのステージに対応するスペックのためサイズや音量が大きすぎてしまう場合もあります。
アマチュアバンドでは、運搬の苦労や演奏する会場の広さなど、使用する条件が異なるためそれに見合ったものが望ましいです。

例えば100wのチューブアンプヘッド+12インチスピーカ4発入りキャビネット というロックの王道的組み合わせも、演奏する会場が小規模(当店のホールもそうですが)ですとボリューム目盛りが2〜3の設定でも他の楽器の音をかき消してしまうような爆音になる事もあります。しかもチューブアンプは音量を上げてこそ良質なサウンドが得られる性質があるため、それでは本来の魅力を発揮できません。
ご自身が使用する環境で求められる最大音量にあわせたワット数のものを選ぶと、余すことなくアンプを使い切ることができます。

アンプのチャンネル数と使用される真空管にも注視してみましょう。
アンプ一台で全部の音を作りたい、ということなら2チャンネル以上のクリーンと歪みを使い分けできるようなアンプのほうがバリエーションが広がります。逆に、ジャズ・ブルースなどコンテンポラリーなスタイルのプレイヤーの場合「この音」っていうのがあると思いますので、それが得られるシングルチャンネルのアンプで無駄な機能を排したタイプの方が直感的にアンプサウンドを得ることができます。

これはあくまで仮説ですが、シングルチャンネルと2チャンネルのアンプがそれぞれ価格が20万円だったとします。単純に考えれば同価格ならシングルチャンネルの方が1つのチャンネルにより多くのコストをかけていると思われますので、クオリティーは高そうです。
このシングルチャンネルと同等のクオリティーの2チャンネルアンプとなると25万円くらいしてもおかしくないです。
と、根拠はありませんが私は思っています・・・。

真空管は大きく分けて2タイプあります。
パワーアンプ部に使用されているものは、『6L6』 『6V6』 『EL34』 『EL84』 などというのが多いです。
6L6・6V6は共にアメリカ製のアンプに多用されており、クリアな高域と枯れたようなブルージーなドライヴ感が特徴です。フェンダーアンプなどを筆頭にいわゆるアメリカンロックというのはこのチューブによるギターサウンドを指しています。6L6は6V6の高出力バージョンでサウンドの傾向は似ております。
EL34・EL84はヨーロッパ(特に英国)製のアンプに多用されており、キレの良いエッジとクリーミーなドライヴ感が特徴です。ヴォックス・マーシャルなどで得られるギターサウンドが代表的で、ブリティッシュロックサウンドと呼ばれます。


そんな予備知識を元に、お好みのギタープレイヤーはどんなアンプを使用しているか情報を集めて、同じようなタイプに属する機種を楽器店で試してみると良いのではないでしょうか? 試奏するときにはマイギターを持参されることをお勧めします。
また、サウンドの好みなどを遠慮なく店員に伝えて、お勧めのアンプやセッティングを聞いてみて下さい。