アコースティック・ピックアップ選びのポイント


アコースティックギターをライブで使用する際に、ギターリストを悩ませるのはピックアップの取り付けです。
サウンドはマイク録りが一番いいのはわかっていますが、少し動くと音量・音質が変わってしうので、弾きながら姿勢を維持するのに多くの神経を使ってしまい実用的とはいえません。
そこでピックアップを後付けしようと考えますが、様々なタイプとメーカー・モデルがあり、実際どれが自分のギターに合うのか分かりません。付けてみないと分からないというギャンブル的な選択が待ち受けています。
実際に多くのお役様から寄せられる相談と当店の経験を元に、ピックアップ選びのヒントとなるような情報をご紹介します。


▼まずは自分が演奏する環境を確認しましょう。

Q1 貴方はどのような環境で演奏をされているのでしょうか?

 @ホールなど大会場 Aライブハウス B飲み屋など C練習スタジオ D路上 E自宅中心

Q2 貴方の演奏されるジャンルはどのようなタイプでしょうか?

 @ロックバンドでボーカルギター Aアコースティック中心のバンド B弾語り Cソロインスト D何でもやります


Q1で@Aを、Q2で@ADを選択された方は、比較的音量を必要とするため、まずはハウリングに強いピックアップという条件で選ばれるのが良いでしょう。

Q1でBCを、Q2でABCを選択された方は、特にアコギらしい生音を再現するようなピックアップを希望されると思います。多少値が張っても上質なピックアップを選ぶようにして下さい。最初はシンプルなシステムにされることをお勧めします。

Q1でDEを選ばれた方は、ピックアップを取り付ける必要性はあまりないようです。最初は手頃な価格のものを試してみるか、簡単に付け外しができるタイプを選ぶと良いと思います。




▼大きく分けて4種類のピックアップがあります。
  その中でも当店で取り付け依頼の多い人気機種をご紹介します。

1:インブリッジピエゾタイプ
Takamine・Ovationなどに代表されるいわゆるエレアコに使用されているのはこのタイプが多いです。
ブリッジサドル下に装着して弦振動そのものをピックアップします。
【長所】コンプレッションの効いた明瞭で歯切れの良いサウンドは、ピック弾きでのコードストロークから指弾きまであらゆるプレイにマッチします。大音量でもハウリングに強い。
【短所】ソリッドな音質である事で、柔らかく奥行きのある生ギターの響きとは少しニュアンスが違う。ただしプリアンプなどで補正する事により改善されます。
ロックバンド・フォークバンド・弾語り なんにでも合い結局は一番使いやすいタイプだと思います。
Fishman Matrix シリーズ
L.R.Baggs element シリーズ
2:コンタクトピエゾタイプ
インブリッジと同じ方式でピエゾ素子を用いたピックアップですが、取付ける場所がブリッジサドル下ではなくトップ板の裏側に両面テープで貼り付ける方式です。
【長所】弦振動ではなくトップの木材の振動をピックアップするので、よりソフトで温かみのあるサウンドが得られます。ナチュラルなアコギ生音サウンドに一番近いです。
【短所】音量を上げるとハウリングしやすい。貼り付ける位置により音質が大きく変化する。
バンド演奏などには向かず、小規模なフォークバンドやソロギター・弾語りなど大音量を必要としないスタイルに適しています。
L.R.Baggs iBeam Active
啓陽 PS-700
M-factory
3:マグネットタイプ
エレキギターのピックアップと同じ原理で、サウンドホールにはめ込むマグネットピックアップです。
アコギ用の弦はブロンズワウンドのためマグネットピックアップに反応しません。(音が極端に小さくなるということです。)そこで6〜4弦はポールピースが高くして、1・2弦は低くすることで音量バランスがとられます。
【長所】迫力のあるサウンドを求めるならこのタイプ。豊かな中低音でパワフルな太い音が得られます。またインブリッジピエゾ同様にハウリングに対しても強いです。
【短所】構造上1・2弦(プレーン弦)がエレキギターのような音になりがち。(最近のものは良く考えられているのでそうでもないが)
SUNRISE S-2
L.R.Baggs M-1
4:ハイブリッド
上記のピックアップを組み合わせ取付けてそれぞれの長所により短所をカバーするという考えにより作られているシステムです。または、コンデンサーマイクをプラスすることでエアー感を得ようとするものがあります。
ギター内部の取り付けがやや複雑になり、システムとしても高価であります。
まずは上の3種から自分に適していそうなものをセレクトして取り付けてみて下さい。大体はそれで満足できると思いますが、さらにピックアップサウンドを追求する上級者向けです。
Fishman RearEarth Blend
L.R.Baggs DualSource
M-factory
ピックアップで得られるサウンドを補正するためのプリアンプも各社より発売されています。サウンドキャラクターを決定付けるのはしばしばピックアップよりもプリアンプであることが多いです。高価なピックアップを単品購入するより、プリアンプに資金投入するほうがより効果的な場合もあります。
ご検討の際には気軽にご相談・お見積りをお申し付け下さい。